認知が進み今では医師や看護師と並んで一般的になった薬剤師。就職や転職に困らないで給与も安定的に高いから、薬剤師になるのはおすすめ!という記事もあるなか、医師と異なり何代も薬剤師になる家系はあまり聞かないのと、子どもは薬剤師にさせない!という薬剤師も少なくない事実。
なお、個人的な結論を先に記載すると、「女性の年収としては悪くないけど、男性はコスパ考え年収は低い。」です。(男性薬剤師の方、ゴメンナサイ!)
では、あらためて薬剤師の年収を改めて考えてみたいと思います。
薬剤師の年収の現実(リアル)
平均年収(全業種との比較あり)
2015年~2023年までの平均年収の推移は以下の通りで、緩やかな上昇傾向はみられているものの2021年から横ばい傾向が見られ、厚労省の1次データから取得できる年収としては2023年が最新で578万円程度となっております。なお、全業種との平均と比較すると約120万円高い年収となっております。

出典元:厚生労働省「賃金構造基本統計調査」(令和5年度)

2016年は何で下がってるんでしょうかね。2016年の調剤報酬改定と薬価改定がマイナスだからですかね。また、2021年はコロナ禍で薬剤師の流動化が止まった時期でもあるので、例年に比べ平均年収が上がったのかなぁと感じますね。
なお、全業種の平均と比較して年収は約120万円高い理由が、師業特有の人手不足によるものなのか、技術力によるものなのかは疑問が残るところではあります。
薬剤師の平均年収(男女別)(全業種との比較あり)
2022年および2023年の数字で比較すると、いずれも男性薬剤師が女性薬剤師を約80万円上回っています。一方で、性別毎に全業種と比較すると、男性薬剤師は約60万円程度全業種の男性の年収平均を上回っている一方で、女性薬剤師は約230万円全業種の女性の年収平均を上回っていることが分かります。


出典元:厚生労働省「賃金構造基本統計調査」(令和5年度)
全業種との平均を比べると男性薬剤師は全業種との平均を比べてもそれほど高くない一方で、女性薬剤師は全業種平均を大きく上回り、女性においては薬剤師という職種を選択するメリットは非常に大きいのが分かります。



男性薬剤師が女性薬剤師を上回っている理由としては、雇用区分として正社員が多いことや、管理職や役職の就任率も考えられますが、一番は勤務時間(労働時間)が長く残業分が反映されるのが大きいですかね。
薬剤師の平均年収(年齢別)(全業種との比較あり)
2023年の数字をみると、薬剤師は30歳後半と50代の2つのポイントで大幅に年収が上がっています。具体的には30代には平均年収600万円を超え、50代には700万円を超える数字となっております。60歳以上では大幅な年収減が見られますが、それでも570万円と全業種比べ高水準となっております。


出典元:厚生労働省「賃金構造基本統計調査」(令和5年度)・国税庁「民間給与実態統計調査」(令和5年度)
35歳で大幅に上がっているのは、パート・短時間労働の女性が出産期で分母分子から外れるのも影響が大きいのかなと感じております。50歳以上で高いのは役職層が多いほかに、オーナーの薬剤師が上げているんですかね。年齢別は自分のキャリアをどのようにするのかの一つの参考にはなりそうです。
参考:他の医療従事者との比較
2023年度のデータでは、医師は1,400万円超となっており、歯科医師も下がっているとは言われていますが900万円を超える年収となっております。


出典元:厚生労働省「賃金構造基本統計調査」(令和5年度)
そりゃそうですよね。薬剤師の位置としては妥当な範囲ではないでしょうか。年収以上に一般社会での認知は進んでいるのを感じますし、一昔前と比べたら「薬剤師」という職業が何をするのかが理解されているだけでも善しとしましょう。(別の記事で、医師との経済性の違いについて記載しておりますので是非、参考にしてください!)
薬剤師の平均年収がこれから上がる可能性を考える
結論からお伝えすると、調剤業界・ドラッグストア業界のおける薬剤師の年収は今後上がりません!(微増はあるかもしれない程度)断言します!
理由としては、
「社会保障費には限度があるから」の一言に尽きるかと思います。
「いやいや、高齢者が増えていくのだからこれから収益は増えるハズでしょ!」という意見を述べたくなる気持ちは分からないでもないですが、限度がある以上患者が増えても利益は増えません。むしろ給与は変わらず忙しくなるだけという未来がすぐそこまで来ていると考えた方が自然です。
そして、そのことは外部の人たちからは案外冷静に見られているもので、薬剤師の年収はむしろ低いものとして考えられています。その点について具体的にお話しさせていただきます。
社会保障費には限度があるため薬剤師の年収が増えることは想定しにくい
調剤薬局の収益の源泉である医療費はどこからまかなわれていますか?そうです。社会保障費です。
厚生労働省発表の2022年度社会保障給付費データによると、医療費(医療関係費)は約44兆円で社会保障費全体約133兆円の約33%を占めています。そして、社会保障費の源泉は、労働者(労働者人口)と企業が支えています。これがポイントです。
高齢化により医療費は上がるハズだから、調剤薬局の収益は増えるハズ。なら、薬剤師の年収も上がるのでは?
口を揃えてどうぞ! 「ダウトっ!」
ではどこが間違っているのか分かりますか?
答えは医療費は上がるハズ の部分です。厳密には多少上がるかもしれませんが、高齢者の伸びほどには上がりません。理由は簡単、社会保障費に限度があるからです。さらにいうなら少子高齢化のため社会保障費はこれ以上増えるには限界を迎えているからになります。図で見るのが一番ですね。


現時点でパンパンに膨れ上がった医療費や年金を何とか絞り出した社会保障費で補っているところに、少子高齢化が進めばどうなるか分かりますよね。もう若い世代をこれ以上いじめるのはやめましょう!ではないですが、社会保障費はもう絞り出せないところまで来ています。そうすると取れる方法は限られていて、高齢者がどれだけ増えても医療費総額は据置き、つまり一人当たりの単価を減らすしかないです。ジェネリックみたいな緩やかなものではなく、基本料や技術料へのメスは避けられないです。



さすがに年収が減ることはないとは思いますが、高齢者が増えようが源泉である調剤医療費が増えてくれないと薬剤師の年収が増えることはなさそうですね。(あるとしたら、薬局数や薬剤師数が半分になる、ですね。)
薬科大学の定員割れから一般の方には将来性がないのは見抜かれている実態
これ何の割合か分かりますか?


2023年度の調査で私立系薬学大60大学のうち、定員充足率90%に満たなかったのはなんと27大学もあった(全体の45%)と報告されています。(出典:薬事日報2023年11月24日記事)
もちろん少子高齢化でどの大学も定員確保は厳しさを増すのは分かりますが、まぁ人気ないですね。学部の人気は当然、その職業の魅力と連動しますので、、、つまり、、、魅力が。ということですね。親御さんとしては将来性がない職業に子どもを進学させるわけにはいかないのでしっかり見ているという状況が垣間見えますね。
さて、大学視点で考えると薬学部は6年制なので大学の視点で考えると1名定員割れするのは6年間の学費が確保できないことを意味します。特に身動きのできない薬科系大学は身売りも含めて検討するかなさそうです。なんか、寂しくなってきました。
参考)投資対効果 ※1次情報でないのであくまで参考
ちょっと薬剤師の生涯年収をググってみました。
薬剤師全体の生涯年収は約2.3億円程度で職場別では下記の通りだそうです。(複数転職サイト参照)
- 企業(MR、CROなど):約2.6億円
- 大手ドラッグストアチェーンの調剤部門:2.3~2.5億円
- 調剤薬局:2.3億円
- ドラッグストア:2億円
- 一般病院:2億円
一方で、社会全般での生涯年収では、
- 大学・大学院卒の生涯年収:男性 2.7億円、女性2.2億円
- 全体:2億円程度
だそうです。あれっ、薬剤師は大卒枠なので、他の大卒と比較して生涯年収で考えるとコスパ結構悪いです(年収は低い)。
薬科大学の学費はそもそも6年制なので私立だと1,000~1,300万円かかります。一方、4年制大学の私立では500万円程度なので、大学を出ることを前提とすると年収における薬剤師のメリットは思った以上になさそうです。特に男性については、大卒では生涯年収について平均以下というのは6年制も出てお金をかけたのに残念ですね。(これはあくまでググった雑な検証ではあります。)
どうすれば年収を上げられるのか
このブログは1,000万円を目指すための視座を得るものなので、この辺りは別の記事で随時UPしていきますので是非ご期待ください。
結論から申しますと、『平均年収』は上がらないと記載した通りですが、個人のキャリア設計次第ではもちろん上を目指すことは十分可能です。ここで、平均年収が上がらないことが意味するものは、『今までは黙っていても市場の成長と共に給与が上がっていたけど、それはもう期待できませんよ』ということを意味します。
そのことが改めて分かる記事【調剤薬局の行く末をプロダクトサイクルで考える】も是非ご覧ください。



薬局オーナーも収益の観点から慎重にならざるを得なくなっていますし、企業でも出店控えが起きれば管理職のポストは増えないから昇給機会は減りそうです。
働く都道府県を変える
ネタのように感じるかもしれませんが大真面目です!
では、何故平均年収が高いのか?
とんでもなく優良高収入企業があれば別ですが、単純に人が足りないからです。今は、WEBでつながる時代ですから、特に首都圏にこだわることが無ければ選択肢としては十分ありなのではないでしょうか。
順位 | 都道府県 | 平均年収 |
---|---|---|
1位 | 広島県 | 706.0万円 |
2位 | 秋田県 | 680.5万円 |
3位 | 宮城県 | 672.6万円 |
4位 | 鹿児島県 | 644.5万円 |
5位 | 鳥取県 | 630.3万円 |



東京都にこだわる時代じゃ絶対ないです!若い人ならなおさらですし、美味い魚や酒が安く堪能できるならなおのことお勧めします!
キャリア設計の上で転職していく
キャリア上、転職は2,3回は経験していくのは普通になってきています。今までの昇給は人が足りないタイミングだから上がったケースもこれからは、個人のスキルも間違いなく見られてきます。じゃあ、スキルはどうやって手に入れればいいのかというと、座学(WEBやスクール)だけでもダメで、それを実践で体験できる環境に身を置くことで初めて使えるようになります。
このブログでは今後、どのようなスキルがおすすめだとか、こうやってキャリア設計すると良いかもだとかそういった内容を中心に記事UPしていきますのでご期待ください。



わたしのマーケティングの師匠はアクセンチュア出身なのですが、その人から教えられた言葉に、稼げるスキルであっても、
知っている ➡ 使いこなせる ➡ 稼げる
の3つで使いこなせるで初めて役に立つと言われました。そのためにも実践できる環境に身を置くことは重要ですね。
社内で上を目指す
こちらもまた、いくつか別の記事を載せますのでお待ちください。
ただ目先の昇給ではなく、きちんとキャリアが積みあがる(正しく年収が上がる)企業体というものがありますので、今の会社がその点に合致しているかはきちんと判断していく必要があります。
まとめ
平均年収を考えると全業種の平均年収を上回るため、剤師資格を取る価値はあり、特に女性においては、年収確保の点からは有効であるのと、ここに記載はないですが実際の薬剤師不足から就職や転職に困るケースは少ないため薬剤師資格取得のメリットは大きそうです。
「嫁は薬剤師に限る!」なんて言ったら怒られそうですが、女性薬剤師が配偶者になると家計的にはかなり強い味方になりそうです。また、薬剤師の仕事は患者に基本触れることはなく、ピッキングや在庫管理、服薬指導業務が中心のきれいな仕事でもあるので、その点を考えると比較的優遇された職業と言えそうです。
ただし、男性に関しては、一般業種と大きな差異はなく現実的に大きな企業に勤めない限り役職での大幅昇給が見込めないことと、ある程度業務になれたらルーティーン化を感じてしまい成長を求める方には特に厳しい環境かもしれません。
とはいえ、ヘルスケアは注目されており他業種からの参入も今後は考えられる中で、プライベートなどを活用して薬剤師の資格に加え新たなスキルをプラスすることで思いがけないキャリアにステップアップすることは多分に期待できるかと思います。
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