こんにちは、ヤツPです!
薬剤師=「病院」or「調剤薬局」というキャリアイメージはいまだに根強いですが実はそれだけではありません。近年は、医療・製薬業界を含めた多くの産業がデジタル化の波(DX)に直面しており、その最前線を支える職種の一つがITコンサルタントです。
ITコンサルは、クライアント企業のシステム導入やDX推進を支援するプロフェッショナル。ERP導入やクラウド移行をサポートし、企業全体の業務効率化と変革を支えます。
気になる年収レンジは、新卒〜若手層で500〜800万円程度が目安で、経験を積むとマネージャーで1,000万円前後、シニアマネージャー〜パートナーで1,500万円以上も目指せる環境です。薬剤師としてのスタートラインに比べても、かなり高水準といえます。

なんやて!? 新卒でもそんなに!? ほんでキャリア積んだら1,000万オーバーかいな!
ただし、薬剤師にとっては少しハードルもあります。未経験の中途転職からITコンサルに入るのは難易度が高め。システムや技術の素養が必要とされるため、まずは業務系コンサルで経験を積んでからスライドする方が現実的です。一方で、新卒からであれば、研修を通じてキャッチアップできるため挑戦は十分可能。特にITに興味ややりがいを感じるなら、選択肢として大いにアリです。
ITコンサルとは? 企業のデジタル変革を支える存在
ITコンサルタントとは、企業が抱える経営課題や業務課題を、システムやデジタル技術を活用して解決する専門家のことを指します。
総合系ファーム(デロイト、アクセンチュアなど)では、業務系と並んで主力領域の一つとしてITコンサルが位置づけられています。たとえばERP導入やクラウド移行といった大型プロジェクトは、総合系が得意とする領域です。
一方で、ITコンサルには専門ファームも存在します。SAPやSalesforceなど、特定のシステムに特化して高い専門性を提供するケースも少なくありません。
ITコンサルの役割を整理すると、主に以下のようになります。
- ERP(SAP、Oracle、Workdayなど)の導入支援
- クラウドやAIなどのデジタル技術を活用したDX推進
- システム設計・運用改善のサポート
- 業務系コンサルが作ったフローをシステムに落とし込む“橋渡し”



業務系が“設計図”を描いて、ITコンサルが“施工”を担う。だね。
特にAIが加速する今、総合系ファームを中心にコンサル業界全体が大きな成長局面を迎えています。それに伴い、業務系コンサルやITコンサルの求人は拡大傾向にあり、応募のチャンスも広がっています。
ITコンサルの種類と特徴
ITコンサルと一口に言っても、実は細分化されています。企業の抱える課題や導入するシステムの領域ごとに役割があり、代表的なものが「SAPコンサルタント」「ERPコンサルタント」「SCMコンサルタント」「CRMコンサルタント」です。
SAPコンサルタント
ドイツのSAP社が提供する世界的に利用されるERPシステム(基幹業務システム)に特化したコンサルタントを指します。SAPは会計、人事、購買、生産、販売など企業活動のあらゆる領域を一元管理できるシステムで、大手グローバル企業を中心に広く導入されています。
SAPコンサルタントは、この巨大システムを企業に導入・定着させるために、要件定義から運用サポートまで幅広く支援します。導入プロジェクトは数百人規模、数年にわたるケースもあり、その影響範囲は非常に大きいのが特徴です。



SAPは企業の“心臓部”だ。だから導入・改善の需要が絶えないんだ。
製薬会社のサプライチェーンや品質管理、生産管理などにSAPが使われていることが多く医療業界でも重要なシステムとなっております。
ERPコンサルタント
ERPコンサルタントは、SAPだけに限らず、複数のERPパッケージ(Oracle、Microsoft Dynamics、Workdayなど)を扱うコンサルタントです。クライアントの経営課題や業務プロセスを理解したうえで、最適なERPを選定し、導入・運用まで支援する役割を担います。
ERP導入は単なるシステム更新ではなく、企業の業務そのものを再設計する大規模な取り組みになるため、プロジェクトの規模も数十億円単位に及ぶことがあります。業務フローを把握する力、経営や会計の知識、そして複雑なシステムを整理する論理的思考が求められます。プロジェクト規模は数十億円単位に及ぶこともあり、ITコンサルの花形領域となっております。



ERP導入って簡単そうに見えるけど、実際は“業務を丸ごと変える大工事”。だから失敗すると痛手も大きいのよ。
SCMコンサルタント
SCMとは「Supply Chain Management(サプライチェーン・マネジメント)」の略で、原材料の調達から生産・出荷・流通・販売までを一貫して管理する仕組みです。SCMコンサルタントは、この流れを効率化し、コスト削減や利益率改善を実現することをミッションとしています。
具体的には、サプライチェーン全体の可視化、在庫や物流の最適化、SCMシステム導入・運用の支援などを行います。医薬品業界では特に、安定供給や流通効率化が常に求められるため、SCMの専門家は強く求められています。



ワシの作った風邪薬も、サプライチェーンに支えられて全国に届いとるんじゃな!
CRMコンサルタント
CRMは「Customer Relationship Management(顧客関係管理)」の略で、顧客情報を一元的に管理し、営業やマーケティングに活用する仕組みです。CRMコンサルタントは、顧客データを最大限活かすために、システム選定から導入、運用改善までを支援します。
ECやSNSが普及し、顧客との接点が多様化する現代では、CRMの活用は企業の成長に直結します。ただし、導入しただけで活かせていないケースも多く、CRMコンサルタントが「どう使えば成果が出るか」を指導する必要があります。



ドラッグストアのアプリやポイントカードも、実はCRMの一部なんだね!
ファームによる対応範囲に違いはある?
総合系ファームの対応範囲
総合系ファームの特徴は、戦略から業務、ITまでワンストップで支援できることです。したがって、SAPやERPはもちろん、SCMやCRMなどのIT領域にも幅広く対応しています。
ただし、「全てできる=全てが強い」わけではなく、ファームごとに得意分野があります。
- アクセンチュア:IT/DXに圧倒的な強み。ERP・クラウド案件に多く携わる。
- デロイト、PwC、EY、KPMG:戦略〜業務〜ITまで幅広い。ERPやSAP導入を軸にした案件が多い。
- 特定領域特化型:医療、金融、公共といった業界に強みを持つ場合もある。
特にERPやSAPは「稼ぎ頭」の領域なので、多くのファームが専門部隊を持っています。



総合系は“全部対応する”万能型。でも、その中でどこに強みがあるかはファームごとに違うんだ。
専門系ファームとの違い
一方で、専門ファームは特定領域に特化します。SAP専業、Salesforce専業といったファームも多く、一点突破型のエキスパートを目指せる環境です。
たとえば「SAPだけ」「Salesforce(CRM)だけ」を専門にする企業も多いです。
ITコンサルに必要なスキル
ITコンサルタントに求められるのは、単なるシステムの知識にとどまりません。ERPやクラウドの仕組みを理解し、それをどう業務に適用するかを考える力、つまりシステム理解がまず欠かせない基盤です。加えて、複雑な業務を整理し、システム要件に落とし込むための論理的思考力も重要となります。
しかし、知識や理屈だけではプロジェクトは前に進みません。実際の現場では、数百人規模の大きなチームをまとめる力が求められます。スケジュールを調整し、ステークホルダーを巻き込みながら進めていくプロジェクト推進力は、必ず必要になるスキルです。そして何より、現場の担当者とIT技術者の間をつなぐためのコミュニケーション力がなければ、せっかくのシステムも形だけのものになりかねません。
さらに忘れてはならないのは、「ガッツ」です。ERP導入やDX案件は数十億円規模、1年以上にわたる長丁場も珍しくありません。スピード感を持ちながらも、泥臭い調整や繰り返しの修正を乗り越える粘り強さが必要です。結局のところ、ITコンサルは知識とスキルに加え、最後までやり切る体力と精神力がなければ務まらない仕事なのです。



カッコよく“DX推進”なんて言うけど、裏では泥臭い調整が延々続くのよね。
ITコンサルのやりがいと難しさ
ITコンサルのやりがいは、何といっても成果が目に見えることです。ERPやクラウドを導入して業務が効率化されれば、これまで数日かかっていた処理が数時間で終わることもあり、現場から直接「助かった」と感謝される場面に立ち会えます。大規模なDXプロジェクトが成功した際には、企業全体が大きく変わっていくダイナミズムを肌で感じることができ、そこにこの仕事の醍醐味があります。
一方で、難しさも相応にあります。技術進化のスピードが早いため、学び続ける姿勢を持たなければすぐに知識が陳腐化してしまいます。また、プロジェクトでは要件変更や予期せぬトラブルが必ず発生し、夜遅くまで対応を迫られることも珍しくありません。華やかに見えるDXの裏側は、地道で厳しい努力の積み重ねだという現実を理解する必要があります。
ITコンサルと薬剤師の親和性、現実的な道筋
薬剤師にとって、ITコンサルは一見遠い世界に思えるかもしれません。しかし、実際には大きな親和性があります。たとえば製薬会社や病院のシステム導入では、医薬品の流通、在庫管理、規制対応といった知識が不可欠です。薬剤師が持つ「現場を理解している強み」は、ITの世界では希少な資産であり、システム導入をスムーズに進めるための“翻訳者”としての役割を果たせます。
とはいえ、現実的に未経験の中途でいきなりITコンサルに転職するのは難易度が高めです。ERPやクラウドといった専門性をゼロから短期間で身につけるのは容易ではありません。そのため、まずは業務系コンサルとして現場改善や要件定義を経験し、その延長でIT領域へスライドするのが最も現実的なルートといえるでしょう。
一方で、新卒からであれば可能性はぐっと広がります。総合系ファームでは研修制度が整っており、システム知識をゼロから習得できる環境が整っています。もしITに関心があり、やりがいを感じるならば、薬剤師としてのバックグラウンドを武器に、ITコンサルへの挑戦は十分に選択肢になり得るのです。



医療知識にITスキルが加われば、他にはない強力な武器になります。薬剤師にとっても、キャリアの新しい扉を開く一歩になるでしょう。
薬剤師に縛られない、新しいキャリアの一つとしてのITコンサル
薬剤師のキャリアといえば「調剤薬局」や「病院」といった選択肢がまず頭に浮かびますが、それだけに自分の可能性を限定してしまうのはもったいない話です。特に新卒であれば、薬剤師資格を持ちながらも医療以外の道を選ぶことは決して珍しいことではなく、その一つとしてITコンサルというキャリアは注目に値します。
ITコンサルは、企業のDXを支え、システム導入や業務改革を通じて社会全体の仕組みを動かす役割を担います。需要は拡大傾向にあり、AIやクラウドが主流になる時代においてはさらに将来性が高まると考えられます。また、若手のうちから数百万円単位の高年収が狙える環境も整っているため、薬剤師資格に縛られないキャリアとしては十分に魅力的です。
中途で挑戦する場合には、いきなりITコンサルに飛び込むのはハードルが高いため、まずは業務コンサルを経験してからステップアップするルートが現実的でしょう。それでも、新しいやりがいやスキルを得られる点で、挑戦する価値は十分にあります。



“薬剤師だから”にとらわれる必要はありません。広い視野でキャリアを選ぶことで、将来に強い武器を持てるんです。
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