相手の肩書に惑わされない思考術

こんにちは、Yatzです!

名刺交換をすると、つい肩書きに目がいってしまいませんか?「部長」「CEO」「取締役」……なんだか偉そうですごそうに見える。そんな肩書きを見て、「この人とつながっておけば何か得があるかも」と感じたこと、一度や二度ではないはずです。

将来転職したい企業の人事かもしれないし、ビジネスの学びを得られそうな人物かもしれない。あるいは、ただ何となく「凄そう」という雰囲気だけで、無意識に心酔してしまうこともあります。

でもちょっと待って。肩書きはあくまで“表面的な情報”に過ぎません。今回は、肩書にある実態を見抜き、本質的に人を見極める視点を共有したいと思います。

目次

肩書き一覧

一般的な肩書き一覧

まずは、日本企業でよく使われる肩書きの役割補足を表形式で整理しました。社会人になると当然みんな知っていることなのですが薬学生には馴染みがないと思いますので記載しておきます。

肩書き説明
会長経営の最終責任者であり、社長の上位に位置づけられるケースが多い。
社長(代表取締役)組織の代表として意思決定の中心的存在。
副社長社長を補佐し経営に深く関与する役職。
専務取締役取締役の上位役職。
常務取締役実務的な管理役職。
取締役経営方針に関与する役員。
執行役員従業員としての立場で最上位。
部長部門の最高責任者。部門の方針や予算を統括。
次長部長の補佐役。部門のサブ責任者。
課長部門内に存在する一つの課のマネジメント責任者。
係長課内でのリーダー的役割。
主任一般職より一段上の職位。
一般社員一般的な社員。

※上記は一例で、企業によって順番等が異なる場合があります。

上記を薬局業界に当てはめると、

管理薬剤師:主任 (or 係長)
エリアマネージャー/ブロック長:係長 (or 課長)

といった具合でしょうか。大企業は肩書きが明確化されて分かり易いのですが、薬局業界ではほとんどが中小もしくは中堅企業なので、オーナーのさじ加減で決まるケースが多いです。

また、中小企業では「取締役」という肩書きが「役員っぽく見せたい」目的で名刺に載ることも多く、実際には決裁権がないケースも少なくありません。薬局業界では特に多いですね。オーナーの代表取締役がほぼ全ての内容について決定しているケースがほとんどだと思います。

Yatz

余談ですが、執行役員までが所謂サラリーマンで、取締役以上は会社と委任契約する経営者とみなされますので、取締役以上に昇進すると一度会社を辞める(労働契約の終了)ステップが発生します。

肩書きの英語表現とその印象

最近は肩書きも英語表記が増えてきました。海外との取引きが増えてきたからと思いがちですが、たぶんほとんどはカッチョいいから英語にしている感じだと思います。特にスタートアップ界隈ではそんな気がします。

日本語英語表現
代表取締役CEO (Chief Executive Officer)
社長President
専務取締役Executive Vice President
常務取締役Senior Vice President
CFOChief Financial Officer
CMOChief Marketing Officer
COOChief Operating Officer
CTOChief Technology Officer
部長(General) Manager
課長(Section) Manager

なお、英語表記を選択している企業でもC●O系以外の、実務レイヤーににおいては一般的な日本語の肩書きを使用するのがほとんどかと思います。理由は、相手に??されるだけだから現場では困るという話ですね。

コンサル業界の肩書き一覧

あとは業界的でも肩書きが独特な場合があります。例えばコンサルティング業界で、特に外資系ファームでは以下のような階層構造が一般的です。

  • Partner(パートナー):経営責任者クラス、案件獲得・経営責任を負う
  • Director(ディレクター):複数案件の統括、および重要顧客担当
  • Principal(プリンシパル):パートナー候補
  • Manager(マネージャー):プロジェクトマネジメントの担当者
  • Consultant(コンサルタント):分析・調査の主担当
  • Associate(アソシエイト):若手メンバー、実行担当
  • Analyst(アナリスト):新卒・ジュニアレベルの調査分析担当

ファームによって呼び名が異なったり、上記の職位がなかったりする場合がありますが、階層の目的は同じで、クライアントへの提供価値や責任範囲に応じて分類されています。

ファーム
コンサルティングサービスを提供する企業そのものを指します。戦略系や総合系などに分かれ、例えば総合系だとデロイトトーマツ、PwC、KPMG、EYストラテジーのBIG4が有名です。

Yatz

だいたいこんなイメージですね。あとは”Senior(シニア)”をつけて、位を分ける場合もあります。例えば、Senior Consultant やSenior Managerなどですね。

肩書きに惑わされない

それでは、本題の肩書に惑わされない思考術について考えていきます。

中小企業の肩書きは“盛られがち”?

企業特に、中小企業では「営業上の信頼」や「ステータス感」を得るために、実際の業務内容以上に立派な肩書きを使うことがあります。

たとえば、従業員数が数名の企業でも「取締役管理本部長」「執行役員マーケティング部長」などの肩書きを付けるケースは珍しくありません。これにより「しっかりした組織」という印象を与えやすくなりますが、実際には兼任や肩書きだけのケースもあります。

また、個人事業主やフリーランスでも「CEO」「COO」といった英語の肩書きを使うことで、海外企業とのやり取りを有利にしたり、ブランディングとして活用している場合もあります。

財前孝史

「立派な肩書きだからといって、すぐに信用するのは早計だということですね。数字や権限で裏付けを取るのが投資の基本のように肩書きも裏付けが重要ということか。」

つまり、名刺に書いてある肩書きだけを見て「この人はすごい」と判断するのは危険です。実際にどんな意思決定権があるのか、どんな実績があるのかを見極めましょう。

あなたにとって“肩書き”は何を意味するのか?

肩書きには「ハロー効果」があります。つまり、一部の印象(肩書き)がその人全体の印象に大きな影響を与えてしまう心理効果のことです。

たとえば「CEO」と聞くと、「賢そう」「実績がある」「頼れそう」などポジティブなイメージを一気に抱いてしまいがちです。この効果により、商談がスムーズに進んだり、初対面の場でも信頼されやすくなるといったビジネス上の利点は確かにあります。

しかし、それは裏を返せば“肩書きに踊らされている”とも言えるのです。

名刺の肩書きを見たときに「この人、なんかすごそう」と感じるのは自然なことです。その背景には、

  • この人とつながっておけば、転職の際にパイプ役になってくれるかもしれない
  • ビジネスの勉強になるような話を聞かせてくれそう
  • なんだかよくわからないけど、後々メリットがありそう

といった自分のメリットを踏まえた心理が隠れています。肩書きは、ある種「可能性の象徴」として受け取ってしまうこともあるのです。

ただし、肩書きだけで判断して心酔してしまうと、実態とズレが生じたときに大きなギャップや失望を感じることになります。大切なのは、その人自身の言動や考え方、そして自分との相性を冷静に見極めることです。

見るべきは“実質的な権限!”

肩書き以上に見るべきは「決裁権限」や「実行力」です。大企業の課長よりも、中小企業やベンチャー企業の代表取締役の方が、自社の意思決定に関しては遥かに高い自由度を持っています。

神代圭介

「肩書きは肩書き。問題は、彼らが何を決められる立場にあるか、だよ」

話を進めたいなら、相手が「その場で決められる人か?」を見極めることが重要です。これは営業だけでなく、就職活動や転職活動、連携の交渉などあらゆる場面で役立ちます。

Yatz

上場企業の課長でも決裁権限数万円レベルだったり、よほどのことでない限りタクシー使わせてくれないケースがほとんどです。夢ない話ですが。

肩書きと実質的な権限を結びつけられるかが見るべきポイント

ビジネス上、一番確認したいのは決裁権限を持っているのかです。決済権限とは、業務上の意思決定や支出・契約などを最終的に承認する権限のことです。つまり、「あなたの判断でOKしていいよ」という会社から認められている範囲です。

肩書きが凄そうだからと接待しまくったけど、結局何も決裁権限を持たないヤツだったらビジネス上のメリットはないわけです。だいたい、それなのに接待を受ける時点で面倒そうなやつですので仲良くなりたくもないですし。

なお、ここでいう決裁権限の有無は、決裁権限が本人になくても、決裁権限を持つ人物にアプローチできる人材かどうかも重要となります。特に、小さい組織であれば直接、社長と会話する機会が多い、積極的に申せるような人であれば決裁権限があると考えられます。要は、課長でも部長でも関係ないんです。自分が求めているものにたどり着けばいいんです。

という感じで、肩書きときちんと決裁権限を結び付けられるかが重要となります。

決裁権限の有無を見極めることは難しい

ただ、なかなか確認するのも難しいのは確かです。特に学生の方だとピンとこないですよね。

だから、自分にメリットが感じられる事柄に対して決裁権限を持っているもしくは持ってそうだな、または持ってなさそうだなとまずは当たりをつけるアプローチで十分なんです。

そこから

  • 相手の企業規模や組織体制を把握する
  • 相手のスキルや仕事の仕方(話し方や言葉遣いが丁寧か、専門的)かを観察する
  • 容姿や身だしなみも参考に

といった内容を含めて少しずつ情報を集めるしかないんです。

そして、自分にメリットがある事柄に決裁権限がないのであればどのような肩書きを持っていても一緒ということになります。

    これらの視点を持っておくと、「肩書きに圧倒されて正しく判断できない」ということが減ります。

    Yatz

    結局、肩書どうこうより相手の存在が自分にとってメリットがあるかどうかが重要です。自分が売込んだ商品を使うかどうか決められる人か?自分を高く採用してくれる権利を持つ人かなど、肩書より実利を踏まえて捉えて欲しいということです。もちろん相手本人がそうでなくても決裁権限者にたどり着けばよいわけで、相手を繋ぎ役として認識するのも当然ありというわけです。

    ちなみに、もしあなたが今の自分に肩書きを作るなら

    名刺を渡す場面を想像してみてください。あなたが今の自分に肩書きをつけるとしたら、どんな表現にしますか?

    日本語の肩書き英語表現
    薬剤師Pharmacist
    管理薬剤師Chief Pharmacist
    学生(薬学部)Pharmacy Student
    医療ライターMedical Writer
    学術担当Medical Science Liaison

    どのように見られたいかにもよって変わってきますよね。ビジネスを進めるための軸でもそうですし、人から尊敬されたいと思う軸でも表現は変わると思います。

    ちなみにわたしは、カッコいい肩書きにして、実際を何も知らない学生から「凄いですね!(よく分からんけど)」と言葉をもらうのは嫌いじゃありません(笑)

    終わりに

    社会に出てから、特に名刺のやり取りが始まると、肩書きで相手を判断してしまいがちです。私自身、若いころは確かに「部長」や「代表取締役」という言葉に気後れしていました。

    しかし経験を積んでいく中で、「肩書きではなく、その人がどんな判断をする人か」を見るようにしてくると、相手との距離感がまた違った形になり、より効果的な仕事の進め方が出来るようになったと実感しています。

    是非皆さんには、肩書きという表面的な言葉にとらわれず、本質を見る目を養っていってほしいと思います。

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    この記事を書いた人

    大学卒業後、外資系製薬企業のMRとして社会人スタート。その後、大手調剤薬局で薬剤師として投薬と在宅業務また本部人員としてプチ管理職を経験しております。
    その後は投資系金融企業に転職したのち、今はITスタートアップにてCMOとして従事しています。

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