こんにちは、Yatzです!
「医師じゃないけど、患者さんの役に立てる薬剤師になりたい」
そう思ったことはありませんか?
病院薬剤師を目指すあなたにとって、「NST(栄養サポートチーム)」という言葉は、今後避けては通れないキーワードです。
薬剤師であるあなたが栄養の知識を持つことの意義、そしてその知識をどうやって深めていけるのか。
この記事では、国家試験対策とキャリア形成の両面から、NSTの必要性を丁寧に掘り下げます。
NSTってそもそも何?
NST(Nutrition Support Team)は、医師・看護師・管理栄養士・薬剤師など、さまざまな職種が連携して、患者さんに最適な栄養管理を提供するチームのことです。
抗がん剤や抗菌薬のような「薬の力」も、栄養状態が悪いと効果を発揮しにくいことが分かっていますので、まさに栄養は治療の土台ともいえます。

えいようのバランス…だいじ。くすりだけじゃダメってこと?
資格としてはNST専門療法士がおすすめ
日本静脈経腸栄養学会が認定するNST専門療法士は、医療現場で栄養サポートを実践する多職種(医師・看護師・薬剤師・栄養士など)向けの専門資格となっており、NSTでの資格としてはスタンダードとなっております。
NST専門療法士の取得ステップ
以下の条件とステップで取得が可能となります。
受験資格
- 薬剤師であること、かつ、国家資格取得後3年以上経過していること
- 日本静脈経腸栄養学会(JSPEN)の会員であること
- 対象施設での実地修練40時間以上を終了していること
- 学会指定の講習会・セミナーの受講を終えていること
となっております。
詳しくは、NST専門療法士認定資格制度のページをご確認ください。
なお、入会費として9,000円がかかります。
申請~認定試験の流れ
申請期間:例年7~8月頃[年1回]
WEBから会員情報および必要書類のアップデートを行います。
なお、審査料として10,000円(クレジットカード or 口座振込)が必要となります。
書類審査を通過した方は、認定試験として筆記試験を受けてもらいます。
筆記試験日:例年10月頃[年1回]」
会場は1か所(東京)で行うとのことで、東京以外の方は上京が必要となります。
合格者の方は晴れて認定証が発行されます。が、ここでも費用は発生します。。
認定期間:5年間
認定料:20,000円(クレジットカード or 口座振込)
なぜ薬剤師にNSTの知識が必要なの?
理由1:TPNや輸液は“薬”でもある
TPN(中心静脈栄養)や高カロリー輸液など、栄養剤=医薬品として扱われるものも多く、病院や在宅業務での役割が拡張している薬剤師において今後専門知識がより求められるようになってきています。
理由2:薬剤と栄養の相互作用を管理できる
たとえば、亜鉛やビタミンの欠乏が創傷治癒を遅らせたり、高カロリー輸液中の電解質バランスが崩れて副作用を引き起こすことも考えられ、薬の効果と安全性を左右する「栄養とのバランス」を見るのは薬剤師の役割として当然である部分が挙げられます。
理由3:診療報酬上も“薬剤師の関与”が評価される
「栄養サポートチーム加算」や「薬剤管理指導料」に、薬剤師の専任配置や介入記録が求められることがあります。
つまり、NSTでの薬剤師の働きは、チーム医療と診療報酬の両面で“価値がある”と認められているんです。
今後、病院や企業でもこの価値を高く評価する動きも垣間見えるので先んじて取組むことは自分をアピールする上でも効果的になることが想定されます。
と、ありますが、ぶっちゃけ多少の時間と少額のお金を出せば知識はもとより資格を取得できるのは効果的かと思います。
しかも薬剤師が資格要件になっていますが、まだ薬剤師でも取得者が少ないようなので差別化にも活用できそうです。
そもそも、どうやって知識を得ればいいの?
2025年現在、薬剤師国家試験でNSTに関する直接の出題は少ないです。一部、
- 栄養療法(経腸 vs 静脈)
- ビタミン欠乏と薬理作用
- 高カロリー輸液の管理
などは頻出分野ではあるものの総量自体は少ないのが現実です。
つまり、薬剤師の資格取得の過程での知識習得は期待が出来ません。
そのため以下のようなアクションが必要となります。
1. 薬学生向けのNST研修をチェック
病院実習中や学会で、NSTラウンド同行や見学ができる研修があります。
延長線上には、上記の「NST専門療法士」の認定制度もあるので、薬剤師であればアンテナを張っていても良いと思います。
2. 書籍から知識を得る
薬剤師の中ではこれが多いかもしれません。
日本臨床栄養代謝学会(JSPEN)が発行している書籍としては、
がありますし、
は、スタンダードとして皆さんが参考にしているようです。
3. SNS・ブログ・論文を活用する
まだ、具体的には考えないけどNSTについては多少は興味持ったという方には、
X(旧Twitter)で「#NST薬剤師」で検索すると、現場で活躍する若手薬剤師の投稿が見つかります。
「薬剤師 栄養 専門」などでGoogle Scholarを使ってみるのもおすすめです。



状況を正確に把握し、必要な知識を戦略的に補う——それがプロだ
あらためて どんな職場で活かせる?
- 急性期・高度医療病院 → NST専任薬剤師として加算取得に関与
- 慢性期病院 → 栄養状態の継続的な評価と提案
- 在宅 → 輸液ルートや栄養剤の提案、服薬と併用時の注意点サポート
将来に迷ったときの“1つの軸”として
あなたが感じている「誰かの役に立ちたい」という想い。
その答えは、必ずしも薬そのものにこだわる必要はないかもしれません。
薬剤師にとっては、医師や看護師と比べても専門知識に関しての自己研鑽があまり求められていませんでしたが、今後はより差別化をしていくことが生き残りに重要になる可能性は高いです。
その一つとして、「栄養×薬剤師」という軸は、高齢化が進む中で求められる専門性であり、「患者さんの生活を支える」意味で、とてもやりがいのある道の一つであることから紹介させていただきました。



わたし…不器用だけど、誰かの命のために何かできるなら頑張りたいの
まとめ 栄養の専門性を身につける必要性を感じているなら、今から踏み出そう
NSTは、単なる“栄養のチーム”ではありません。薬剤師として、栄養療法に積極的に関わることで、患者さんの治療を根底から支える存在になることができます。
特に、これからの医療現場では、「処方を確認して終わり」の薬剤師ではなく、チームの一員として治療方針に深く関与できる薬剤師が求められています。その意味で、NSTに関わる経験や知識、そして「NST専門療法士」のような認定資格の取得は、間違いなくあなたの武器になるはずです。
今すぐ資格を取れなくても大丈夫。国家試験に合格したあと、どんな薬剤師として成長したいのかを考えたとき、NSTは「自分らしい専門性」を築ける分野のひとつです。
もし、「薬だけで患者さんは元気になれるのか?」
と薬の知識に加え、栄養という視点も必要ではないのかということに違和感を感じない、むしろそうだろうと思っている方がいたら、是非NSTについて“知る”ことから始めていただければと思います。
是非、あなたの自己研鑽と「誰かの役に立ちたい」という気持ちに対して、ポジティブな刺激を提供出来たら非常に嬉しいです!
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