こんにちは、ヤツPです!
「薬剤師に会計の知識なんて必要なの?」と思う方もいるかもしれません。でも実は、薬局経営や独立開業を目指す人だけでなく、製薬企業や病院勤務の方にとっても、“数字の読み解き力”は大きな武器になります。
さて、「アカウンティング」──会計の話、前に「それってファイナンスとどう違うの?」と混乱する方も多いのではないでしょうか。
実はこの2つ、英語ではまったく異なる領域を指していて、目的も手法もまったく違うものなんです。
- Accounting(アカウンティング):語源は「account」=数を数える・記録する
- Finance(ファイナンス):語源はラテン語の「finis(終わり・決着)」から派生し、「資金の調達・決済」を意味する
つまり、アカウンティングは「過去のお金の動きを正確に記録・整理・報告すること」、ファイナンスは「これからの資金をどう集め、どう使えば価値が上がるか」を考えること。似ているようで、実務ではまったく違います。
本記事では、まずこの語彙レベルでの整理をしっかり行い、混同しない理解をベースにしたうえで、「アカウンティングとは何か?」を薬剤師の視点で深掘りしていきます。会計初心者の方にもわかりやすく、実務にどうつながるのかを丁寧に解説していきますので、ぜひ最後までお付き合いください!
アカウンティングとファイナンス、なぜ混同されやすい?
まず最初に確認しておきたいのは、「会計」という言葉が、日本語ではアカウンティングもファイナンスも包括してしまうことがある、という点です。
特にビジネスの世界では、財務会計・管理会計・財務戦略などが混在し、用語が曖昧になりやすい環境があります。そのため、「会計ソフトを使って帳簿をつけること」も、「投資をして資金を増やすこと」も、同じ“会計”として扱われがちです。

会計って言っても、“何を目的としたお金の扱いなのか”で全然違うからね。まずそこを整理しよう。
特に、理解していない人が、それっぽくファイナンスという言葉を安易に使っているケースが多いですね。
確かに、ファイナンスという用語は金融に詳しい印象を与える単語ではあります。


用語の違いを理解しよう:語源と定義から比較
項目 | アカウンティング | ファイナンス |
---|---|---|
中心となる問い | お金の流れを正確に記録・報告するには? | 資金をどう集め、どう使えば企業価値が高まるか? |
主な対象 | PL・BS・CFの作成と開示 | 投資・資金調達・企業価値 |
利用者 | 投資家・税務当局・社内管理者 | 経営者・CFO・投資家 |
視点 | 過去・現在の記録 | 現在から未来の意思決定 |



“混同”している時点で理解していないのが丸わかりね。本気で数字を扱いたいなら、目的から分けなさいよ。
アカウンティングとは何か?
アカウンティングは、企業の活動によって生じた取引やお金の流れを、正確に記録し、それを読み取れる形にして、関係者に報告するプロセスです。
主なアウトプットは以下の3つです:
- PL(損益計算書):儲かったかどうか(収益-費用)
- BS(貸借対照表):今持っている資産と借金の一覧
- CF(キャッシュフロー計算書):現金の出入りの流れ
これらの情報は、税金を計算したり、経営の現状を把握するために必要不可欠です。
例えば、夏のボーナスで100万円もらったとして、
「今年の収入が増えたな、家計簿に記録しよう」とお金の動きを記録・分類・報告する行為を表します。
ファイナンスとは何か?
ファイナンスは、“これからのお金”をどう扱うかを考える分野です。
- どのように資金を調達するか(例:銀行借入、株式発行)
- 集めたお金をどう運用するか(例:設備投資、M&A)
- 投資に対するリターンをどう見積もるか
アカウンティングが「記録と報告のための技術」であるのに対して、ファイナンスは「価値ある未来をつくるための判断力」だと言えます。
例えば、夏のボーナスで100万円もらったとして、
「この100万円、どう使えば一番得するかな?投資?貯蓄?返済?」とお金をどう使えば将来的に価値が高まるかを判断するのがファイナンスとなります。



ほんで結局、投資すべきかはファイナンスの判断やろ!? 過去の帳簿だけやと足りんわ!
今回はファイナンスについてはあえて深入りしません。というのも、ファイナンスの意思決定には、まずPL(損益計算書)やBS(貸借対照表)といった会計の基礎情報を正しく理解できる力が前提となるからです。
また、ファイナンスは「未来の不確実性」を前提にしており、数字の裏にある経営環境や資金調達の事情、リスク選好など、実務的な経験や判断力が求められる領域でもあります。
だからこそ、薬剤師としてまず押さえておきたいのは、「そもそも数字はどうやって作られているのか?」というアカウンティングの視点なんです。ファイナンスは、そこを理解した“その先”にある世界だと言えるでしょう。
アカウンティングは薬剤師にどう役立つ
薬剤師として企業や病院、あるいは製薬企業に勤務する中で、アカウンティングの知識は次のように多方面で役立ちます。
PL(損益計算書)を読めることで、“売上偏重”から“利益重視”へと意識転換できる
多くの現場では「売上を伸ばせ」と言われがちですが、本当に重要なのは“利益”をどう残すか。
売上が増えても、原価や人件費、販管費がかさめば利益は出ません。PLを読む力があれば、費用構造を把握し、何が利益を圧迫しているのかを冷静に分析できます。



売上より利益が重要。PLを見れば、“何にコストをかけすぎてるか”がすぐに分かるよ。
BS(貸借対照表)から、“費用対効果”を説明できる人になれる
たとえば、高額な検査機器や備品の導入を検討する場面で、「その支出がどういう資産になるのか」「減価償却の影響は?」「ROI(投資収益率)はどうか?」といった視点で説明できると、上司や役員との会話も具体的・説得力のあるものになります。
これは、BSが「今、何を持ち、何を借りているか」を示す組織の“財務体力”を表す書類だからです。
財務諸表を読めることは、M&Aや新規事業の現場でも強力な武器になる
M&Aの現場や事業提携の検討では、対象企業やプロジェクトの価値を判断する材料としてPL・BS・CFの読み解きは欠かせません。
薬剤師が財務資料の意味を理解できるだけで、経営層との会話や戦略的な議論に一気に参加できる存在になれるのです。
会計は“共通言語”。ビジネスパーソンとしての土台になる
「人件費の固定費化が利益を圧迫してる」「在庫回転率が下がってる」――こうした日常的な会話に違和感なくついていくためにも、会計の基礎知識は共通言語として不可欠です。
データドリブンな提案力が身につく
アカウンティングの知識があることで、感覚や経験だけでなく数値根拠に基づいた提案ができるようになります。たとえば、「この新しい業務プロセスは、○万円のコスト削減につながる」といった定量的な裏付けがあると、相手の納得度は格段に高まります。関わる場合も、財務報告書の構造や数字の意味を理解しておくと、他部署とのコミュニケーションがスムーズになります。
まとめ:会計の語彙整理から始める第一歩
会計の世界には、似たようで異なる用語や考え方がたくさんあります。だからこそ、
- 「これはアカウンティングの話か?」
- 「これはファイナンスの判断か?」 といった“語彙レベルでの理解”が、最初の一歩として非常に重要です。
アカウンティングは、薬剤師にとっても“数字で話す力”を養うための基本ツール。将来のキャリアや選択肢を広げるうえでも、今のうちから触れておいて損はありません。



数字を扱う責任は、現場に立つ者すべてにある。理解なき記録は、組織のリスクだ。
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